2007年08月14日

1世紀の損失を、未然に防ぐチタンの下地

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これもチタンの代表建築

ただ、写真を撮らせてもらうときに、「場所が特定されて、見学希望者が大勢押しかけると困る」と釘をさされているから、名前は出せない。

どこがチタン建築なのか? そんな疑問もあるだろう。

実は、檜皮葺きの下地として、オールチタンが使われている。
前にも一度、こういう例を紹介したのではないかと思う。

檜皮、コケラという伝統的な屋根素材は、年々希少なものとなり、価格も上昇の一途である。
加えて、昔よりも格段に質が低下している。

そういう中で、「檜皮、コケラから銅屋根へ」という流れが、まず起こった。
決して最近のことではなく、かなり以前の話である。

ところが、銅板が以前ほど長持ちしなくなったため、「檜皮、コケラからチタン屋根へ」「銅屋根からチタン屋根へ」という流れが、今、主流になろうとしている。

だがしかし、「この建物だけは、どうしても、檜皮葺やコケラ葺を残しておきたい」という要望も、一部には根強く存在する。コストは承知の上である。

それでも、檜皮やコケラの質が低下しているため、昔ほども長持ちしない。
うっかりしていると、スピードが早くなった檜皮やコケラの劣化に気付かず、「雨漏りをきたしてしまう」ということになる。

悲しいかな、一度雨漏りが起これば、建物の寿命は百年縮むと言われている。
そうなってしまっては手遅れだ。

写真の茶室にも見られるような「下地をチタンで」という考えは、そういう中から誕生した。
檜皮やコケラが予想より早く劣化しても、チタンが建物を守ってくれる。
錆びやすい他の金属なら、檜皮やコケラの下地に使うということは、まず困難と考えてよい。錆が出たなら、逆に建物の木材に悪影響を与えてしまう。

そこへいくとチタンなら、半永久的に錆びないし、木との相性も、きわめて良好であるために、互いの特性を殺し合うということも起こらない。

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2007年08月06日

京都に待望のニューカマー

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ここのところ、「また、新たなチタン屋根誕生」というニュースは続々と入ってくるが、どれも遠くばかりで、なかなか出かけることができずにいた。

少々イライラしていたが、ようやく比較的近所に新物件が誕生した。
京都市は阪急西院駅近く、チタンで唐破風を葺いた春日神社の社務所である。

私の場合、チタン屋根の先駆である北野天満宮から歩いて5分、という恵まれた場所に住んでいるが、意外なことに、京都をはじめ関西に関しては、他の地域に比べて裾野へと広がる速度が緩やかだ。
金閣寺茶室、光悦寺など、グッドデザイン賞や大谷美術館賞まで受賞したという大型物件は多いのだが…。

ただ、関西の神社仏閣を素人目に見ている限りでは、「チタンにすればいいのに」と思える物件は山ほどある。

たとえば銅葺きの屋根なんて、今や腐食が目立たないものの方が少ないくらいだ。
それに、関西は阪神淡路大震災という惨事を経験している。
チタンで軽量化すれば、地震などでの倒壊を防ぐ備えになるのに。

勝手なことを言えば、高野山のお寺なんかをチタンにすればすごいと思う。
この春、久しぶりに訪れて驚いたのだが、高野山の寺院群に銅葺きの屋根の多いこと多いこと。失礼ながら、やはり腐食やへこみが目立っていた。

ユネスコの世界遺産にも登録された高野山。
人類のすぐれた遺産を末長く守り継ぐためにも、チタン屋根への葺き替えを、ご検討されてはいかがだろうか。
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2007年06月24日

光悦寺に、まだまだあったチタン屋根

しばしば訪れる光悦寺の本堂がチタン屋根だった、ということは1年以上も前に書いた。

しかし、さらに驚いたことには、光悦寺には本堂だけでなく、最低5つはチタン屋根の建物があるというのだ。

とりあえず私がつかんだ情報によると、本堂の他に、開山堂、光悦堂、騎牛庵、了寂軒がチタン屋根。もしかすると、これら以外にもあるかもしれない。

何もこの1年の間に、これらがチタンで葺かれたのではない。ほとんどが1990年代に葺かれている。
ということは、チタン屋根の先駆である。灯台下暗しとは、よく言ったもの。

愛鷹神社もそうだったが、急速な時代の流れとは無縁のようなひっそりとした場所から、チタン屋根が浸透し始めているということだ。

ただ、残念なことは、通常の参拝路からだと、本堂と了寂軒、騎牛庵の3つしか見ることができない。
それにこの3つとも、鷹峯の閑寂な雰囲気に馴染んでいるから、よほど注意しないとわからないし、騎牛庵に関しては、大人の胸くらいの高さのある生け垣と、うっそうとした植え込みの向こうにあるから、背伸びしないとよく見えない。

チタン屋根ファンのお子様がいたら、ダッコしてあげてください。

それに、建物の名称がわかっていても、拝観料と引き換えにもらえる光悦寺の案内文には、境内の配置図は載っていないから、自力で見つけ出さねばならない。

それでも興味のある方は、是非一度、チタン屋根を探しに、光悦寺に参拝されてはいかがだろうか。

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2007年06月10日

チタン製鬼瓦で、瓦づくりの鬼門を突破

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先日紹介した浅草寺宝蔵門は、実に画期的である。

なぜ、画期的であるのかというと、単に「チタンを使って瓦そっくりに仕上げたから」というわけではない。
それだけで画期的なら、食堂のウインドウを飾る食品見本も画期的といわねばなるまい(まあ、あれはあれで非常に画期的ではあるのだが)。

まずいちばんの理由としては、チタンという軽くて耐久性にすぐれた素材の特性が、フルに発揮されていることだろう。

屋根の荷重を、瓦の何分の1というレベルまでに軽くできたため、耐震性が著しく向上している。もちろん、瓦のように落下の危険もまずないだろう。

半永久的に葺き替えが不要であるため、メンテナンスコストはかからないし、当然ながら、取り替えによる資源の浪費もなくなるということになる。

それだけでも凄いことだが、掘り下げれば掘り下げるほど、瓦をチタンに置き換えることのメリットが明るみになる。

たとえば、浅草寺宝蔵門では、本瓦葺部分だけでなく鬼瓦もチタンだが、鬼瓦というものは、製作工程において非常に歩留まりが悪い。

小さい鬼瓦ならまだしもだが、浅草寺宝蔵門の鬼瓦ほどになると大人の背丈ほどの大きさがある。
いうまでもなく瓦は粘土を練って作られるから、大きい鬼瓦だと、成形が容易でないし、いったんうまく成形できても、いつグニャッと形が崩れるかわからない。
さらに焼く段階で、粘土の中に気泡が入っているとすぐに割れるし、大きなものなら芯まで熱が伝わりにくい。かといって窯の温度を上げすぎると、粘土の融点を超えてしまい、逆に柔らかくなり形崩れが起きる。

そういう事情もあって、職人さんが鬼瓦を1つ納品しようと思うと、同じものをいくつも粘土で成形して、1つでも無事焼き上がりますようにと、祈るような気持ちで窯に入れる。ベテランや名人と呼ばれる瓦職人でも、これは変わらないという。

日本一の瓦職人である山本清一氏の本にも、以下のような主旨の記述がある。

「大きな鬼瓦で、無事で出来上がったものは本当に少ない。鬼瓦を大きなまま作ろうと思ったなら、宇宙ロケットのような、重力や空気のない所へ行かねばならない」

要するに鬼瓦を無事焼き上げるということは、実にたいへんなことなのである。
チタンで鬼瓦を作るにも相当の加工技術は必要だろうが、重力と戦うほどの困難はなかろう。歩留まり自体は悪くないだろうし、運を天に任せるという要素からも解放される。

チタン製鬼瓦の誕生は、鬼瓦それ自体を製作する上でも、非常に画期的なことなのだ。
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2007年06月05日

一文字葺きチタン屋根を再認識

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ここは福岡県福津市の長谷寺。
浅草寺は「あさくさでら」ではなく「せんそうじ」だが、ここも有名な奈良の長谷寺のように「はせでら」と言うのではなく「ちょうこくじ」と言う。
どうも関西と他の地方では、アクセントだけでなく、読み方も違うケースが多いようだ。

それはさておき、こちらの屋根もチタン。このブログでもお馴染みの、緑青色のチタンである。
反りを抑えた宝形造の屋根は、いたってシンプル。だが、堂々としていて風格があり、かつ、味わいもある。
(宝形造は方形造とも表記される。蛇足ながら、この読みは「ほうけい」ではなく「ほうぎょう」。いかに関西でも「ほうけい」とは言わない)

さて、今日の本題であるが、これほども大きな屋根を、他の屋根材で葺いた場合を想像してみてほしい。
檜皮もいけるし、コケラもいける。もちろん瓦もいいだろう。

だが、金属屋根材ならどうなのか。

カラートタンはちょっと貧相。かつてお寺の金属屋根のデファクトスタンダードだった銅にしても、面積が大きく形がシンプルなだけに、間延びした感じで、見た目につまらない屋根になりそうな気がする。
それに、緑青が形成されるまでは、キンキラで見苦しいようにも想像される(最初から人工的に緑青をふかせた銅屋根もあるが)。

そうやって1つ1つチェックしていくと、金属屋根材では、もうチタンしかないと思われる。

もちろん、金属屋根材にこだわらなければ瓦もいいが、屋根の重量が大きくなるため、耐震性に不安が残る。
その点では檜皮やコケラなら不安はないが、良質で安価な檜皮やコケラの入手がほぼ不可能となった現在、その費用や定期的な葺き替えが必要なことを思うと気が遠くなりそうだ。

というわけで、檜皮やコケラと比べてもチタンがいいように思うわけだが、今やチタン屋根といっても、先日紹介した浅草寺宝蔵門のように本瓦風にも葺くことが可能だ。
しかし、この宝形造のようなシンプルな形の屋根は、一文字葺でシンプルに葺いた方が、しっくりくるに違いない。

確かに浅草寺宝蔵門はチタン屋根の1つの究極だが、葺く対象によりけりで、一文字葺にも、一文字葺の良さがある。
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2007年06月03日

チタン屋根の真打ち登場

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ご覧あれ、これが先日のブログで予告した「超大型物件」である。
江戸っ子なら泣く子も黙る「浅草寺」の宝蔵門。

江戸っ子でなくても、初詣のTV中継などで、よくご存じかもしれない。
もっとも、江戸っ子でない私などは、「せんそうじ」ではなく「あさくさでら」だと、長い間思っていた。

とにかく本当に凄いよ、これは。
屋根材がチタンだと知っていなければ、瓦葺きだと信じて疑わないはずだ。
本瓦葺きタイプの屋根本体だけでなく、鬼飾りや雨樋までもオールチタンでできている。細部にまで何と手の込んだ造りであろうか。

さらに凄いのは、全部同じチタン材を使わず、ランダムに光沢(光の反射率)の違うチタン材を配してあるため、昔ながらの瓦屋根のような味わいがある。
最近の瓦は、マスプロダクトで均質化しているため、それで葺かれた瓦屋根は、見た目の色合いも、妙に一様でのっぺりしていて、趣に欠けるのである。

見ての通り、撮影したのは浅草名物・三社祭の期間中(祭の行列よりも、初重の下のチタン製雨樋にご注目)。
それからもう半月が経過しようとしているが、これほどインパクトのある物件を紹介すると、その後の紹介物件が色あせるのではないかと躊躇していて、なかなかアップできなかった。
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2007年05月31日

第59回全国建築板金業者大会 レポートその2

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全国板金大会の屋根材に関する展示の中で、興味深いものを発見した。
同じ形状の屋根を、銅で葺いたモデルと、チタンで葺いたモデルが並んでいたのだ。

これがなぜ興味深かったかというと、この大会のすぐ前に、日本有数の数寄屋の匠であり、チタン屋根施工の第一人者でもあるという人物から、チタン屋根と銅屋根のコスト比較について、お聞きしていたからである。

多少の異議は存在するかもしれないが、現在、材料や工賃も含めたチタン屋根のコストは、銅屋根の2〜3倍というのが、業界の相場だそうである。
ところが、このチタン屋根第一人者の話では、やり方次第でチタン屋根はもっと安くできるのだそうだ。

というのも、チタンという金属は熱による伸縮が極めて少ない。一方、銅は夏の太陽や冬の冷気などにより、ある程度の伸縮が生じてしまう。
しかるに、銅で屋根を葺くときは、それを計算に入れておかねばならないため、1つの部材の面積や長さは制限される。つまり大面積や長尺の施工ができないのだ。

一方、チタンなら金属は熱による伸縮を計算に入れる必要がないので、大面積や長尺の施工が可能となる。
ということは部材の点数が減らせるため工賃が圧縮でき、トータルで考えれば、素材そのもののコスト高をかなり吸収できるというのだ。

写真でご覧の通り、この展示モデルでは銅もチタンも部材の大きさ(一文字葺きのピッチ)はまったく同じ。このように葺けば、素材のコストは銅よりチタンが高いため、チタン屋根全体のコストは自ずとアップしてしまう。

だが、チタンという素材の長所を生かして、銅屋根より1つの部材を大きく葺けば、チタン屋根のトータルコストは当然下がる。

なのになぜ、これまでのほとんどのチタン屋根が銅屋根と同じように葺かれてきたかというと、「銅をチタンに置き換える」という発想しかなかったからだそうだ。

そもそも日本建築を含めた日本文化の特色は、「素材の特性を生かすことに卓越している」ところにあるという。
だから、チタン屋根を施工する場合も、そういう日本文化の持ち味を踏まえたならば、コスト面でも大きなメリットが得られるというのだ。

さすが、匠の話は奥が深い。
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2007年05月30日

今年も全国板金大会へ

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5月16日、第59回全国建築板金業者大会に行ってきた。

個人的には去年に引き続き2度目の見学。この大会は全国都道府県の回り持ちで、去年は和歌山県だったが今年は埼玉県上尾市の埼玉県立武道館で開催された(ちなみに来年は鳥取県で開催予定)。

工具から加工機械、素材、成型品まで、建築板金に関するさまざまな分野からの出展があるので、「屋根材」はその1つに過ぎない。
だからチタン屋根目当ての私としても、過剰な期待は禁物なのだが、去年と比べ、「心なしかチタン屋根、チタン建材の出展が増えたな」という印象を得た。

まだまだ、本格的にチタン屋根、チタン建材を手かげている企業は、ほんの一握りのようだが、それ以外にも参考出展という形で、チタン製品を展示する企業が現れ始めたようである。

ともあれ、建材用チタンで最先端を行く企業のブースには驚かされた。何と本瓦タイプのチタン屋根が展示されているではないか。

これまでのチタン屋根は、形状的には銅屋根など金属屋根の代替という位置づけにあったといえるが、本瓦タイプのチタン屋根の実現によって、これまで瓦葺きだった屋根を、その形状を変えることなくチタン屋根に葺き替えられるのだ。

そしてこの「チタン製本瓦」を採用した超大型物件も近々完成するという。
この件に関しての情報も仕入れてきたし、実際の現場に出向き写真も撮ってきてあるので、後日紹介するつもりをしている。どうかご期待の程を。

この他、チタン屋根関係でぶったまげたのは、犬小屋だった。贅沢にも、緑青チタンで屋根を葺いた犬小屋が出展されていたのだ。
しかしである。世が世なら、これは凄いことだったろう。

犬公方・徳川綱吉が見たら泣いて喜んだに違いないし、それを考案・製作した人は、すぐさま大名として召し抱えられ、領国の1つや2つポーンと授けられたかもしれない。

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2007年05月29日

人里離れたお宮の先進

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福岡県古賀市の愛鷹神社。市街地からは結構離れた場所にあり、普段は社殿に人はいない。

こう書くと、忘れ去られた神社のように思われるかもしれないが、何の何の、2004年2006年の2度にわたって、その屋根がチタンで施工されている。むしろ時代の先端を行く神社なのだ。

さて、よく神社仏閣と一言でいわれるが、神社の建築は日本古来のものであり、寺院の建築は大陸からもたらされたものである。
ただ、もとより日本国内に発祥した神社建築であるが、その後、大陸から来た仏教寺院建築の影響を受けて、変遷や発達を遂げている。

その典型が屋根の造りで、神社は元々、伊勢神宮に見られるように、茅や藁などの植物性素材で屋根が葺かれた。
そもそも瓦葺きというものは、仏教伝来とともに寺院建築の一部として日本にもたらされたものであるが、やがてその耐久性や防火性などのメリットもあって、神社建築にも取り入れられる。

それでも、それから千数百年を経た今もなお、瓦を使わず、古来の植物性素材の発展型である檜皮やコケラで屋根を葺いている神社は数多く存在する。

しかしここに来て、茅や藁、檜皮やコケラなど植物性素材の屋根が危機に直面している。
原料の入手難や質の低下、伝統技術の継承が難しくなっていることなどから、葺き替え費用が高騰したり、葺き替えても昔ほども長持ちしないなどの困難が生じているのだ。

また、この愛鷹神社の場合、背後はうっそうとした林であり、ふさふさと葉っぱをつけた大木の枝が屋根に覆いかぶさるような状態である。
愛鷹神社に限らず、このような条件では、陽当たりの悪さや落下した枯れ葉の腐食などから、植物性素材の屋根では、非常に腐りやすいという泣き所もある。

こういう場合、これまでの常識でいけば、銅屋根に替えるのがいちばん順当なやり方だった。「伝統の植物性素材の屋根の形状を著しく変えない」という条件の下で葺き替えるには、瓦よりも、屋根材としてポピュラーな銅で平葺き(一文字葺き)にする方が適しているのだ。

だが、今は銅屋根が酸性雨などで朽ちやすくなっているし、銅屋根の場合、樹液の滴りも、それが汚れとなってこびりついたり、錆を出やすくしたりといった弊害をもたらす。

この愛鷹神社になぜチタン屋根が採用されたのか、私は知らない。だが、以上のことから、だいたいの理由は察しがつく。
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2007年05月27日

チタンと金とダイヤモンド

ダイヤモンド、金といえば、宝石貴金属の王様。女性たちの憧れの的であり続けている。

察するに、なぜこれらがその地位を独占しているのかというと、長い人類の歴史の中で、ルビーやサファイア、銀、銅など、あまたの対抗馬を蹴落として、より大きな名声を勝ち得てきたのだ。

たとえば、「宝石の中ではルビーがいちばん」と言われる時代があったのかもしれない。「いやエメラルドの方が美しい」と言われる時代があったのかもしれない。
しかし、時代を経るうちに、いつしか「宝石といえばダイヤモンド」という意見が定着したのだろう。

あるいは、最初は「ダイヤよりルビーがいいわ」などと思っていた女性も、やがては「やっぱり宝石はダイヤね」と思うようになるという部分もあったと、多分に考えられる。

さて、数ある物質の中で、ダイヤモンドや金がすぐれているのは、女性の審美眼(虚栄心であったりもする)を満足させるというだけではない。

たとえばダイヤモンドの硬度は10で、地球上に存在するどんな物質よりも硬いのだ。
だから産業用の研磨材やドリル、また、とてつもない硬度が要求されるパーツとしては、ダイヤモンドの右に出るものはなく、目の飛び出るほど高価であるのを承知でダイヤモンドを使わざるを得ないという業種・分野が存在する。

また、金に関しては、空気中や水中でも永久に錆びない。それゆえ貴金属としての輝きが衰えないという側面もあるが、世界の各国で通貨に用いられたのは、このすぐれた耐食性も1つの大きな理由である(この意味では、金歯も同様)。
このほか金は、電導性、延性にもすぐれている。このため現在のエレクトロニクス社会においては、微細さと、電気抵抗の小ささが要求されるLSIのワイヤボンディング(半導体チップとリードフレームの結線)には、金は欠かすことのできない素材でもある。

ダイヤモンドにしても、金にしても、美しいだけでなく、産業用途でも、他の物質では置き換えられない利用価値をもっている。だからこそ、まさに宝石・貴金属の王様の座にふさわしいのだ。


ここで1つ興味深いのは、女性たちは、ダイヤモンドや金の物質的特性を知ってか知らずか、本能的にダイヤモンドや金を選び取ってきたということである。

これは、男を見る目に似ているといえば似ている。
若い頃は、どうしようもないワルや遊び人でも、ルックスのいい男に惹かれたりする。
しかし、年齢を重ねるうちに、見てくれだけでなく相応の経済力や社会的地位など、実質の伴う男がダンゼンよくなる。
悲しいかな、色男、金と力はなかりけりでは、目の肥えた女性には相手にされなくなってしまうのだ。


前置きが長くなったが、建材としてのチタンも、美しいというだけでなく、腐食せず、丈夫であり、その結果メンテナンスフリーで、長い目で見れば他のどんな屋根材より経済性にもすぐれている。

これまでは、ゴルフクラブやカメラ、あるいは航空材料などでチタンの性能をよく知る男性の方が、「チタン」という物質に心惹かれることが多かったかと思うのだが、今後どんどんとチタン屋根が普及して、その美しさはもちろんのこと、強さ、長持ちすること、金銭面での優位性など(まさに男の魅力といっしょですな)が認知されれば、きっと女性たちの間にも、チタン屋根に胸ときめかせる方々が増えるに違いないと確信するのだ。


本日の画像は、庇(腰葺というのかも知れない)をチタンで葺いた、福岡県の明覚寺。
チタンフェチの私としては、屋根もすべてチタンで葺いてほしかった、と勝手なことを思っているが、
同じくチタンフェチの私としては、高い位置にある大屋根よりも庇(腰葺)の方が人目に付きやすいというメリットも同時に感じている。

近ごろでは、銅製や他の金属製の庇が、酸性雨だけでなく、瓦屋根から落ちる雨水の中に溶けている瓦の釉薬の影響でも腐食するという事実が明るみになっているから、庇(腰葺)にチタンを使うというのは、極めて理にかなった選択だろう。

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